エンジンには様々な補器と呼ばれるものが取り付けられています。
補器とはオルタネーター(発電機)・エアコンコンプレッサー・パワーステアリングポンプ・ウォーターポンプ等のことで、これらを駆動するのはエンジンの回転力です。
その回転力を伝えるのがドライブベルトの役割です。(つながる補器によりファンベルト・エアコンベルトなど呼び名が変わります。)
現在のベルトはV山が何山か連なるタイプのVリブドベルトが主流になっています。
V山の数は伝達する駆動力の大きさや長さで増えたりします。
では、このベルトの交換時期(寿命)はどれくらいなのでしょう?
ベルト交換には様々な判定が必要です。
まずは劣化の例です。
ヒビがひどいのがお判りになると思います。ベルトはゴムで出来ているので、経年劣化でこのようにヒビだらけになります。
この状態を放置するとV山が剥がれ落ちベルト切れ・スリップなどが起きますのでもちろんすぐに交換が必要です。
お次は、摩耗です。
走行距離が多い車などでは、経年劣化よりも摩耗のほうが早いためパッと見た感じはヒビもなく正常に見えますが、よく見ると山が細くなっているのがお判りになりますか?
当然、ベルトは力を伝えながら回っているものなのですり減ります、V山は少しずつ細くなります。
最悪、このような状態になります・・・
これは、摩耗したベルトがプーリーに食い込んで最終的に背中部分に達し縦に切れてしまった例です。
よくベルトが、「キー!」と鳴いているお車を見かけますがあれはベルトの張りが足りずに滑っている音です。
ベルトは新品を組み付けると馴染んだり・わずかに伸びます、伸びるということは張りが弱まりますのでスリップ音が出ることがありますので、新品組み付け後すぐに鳴いたのであれば張りなおす事に問題ありません。
しかし、何万キロも走ってから”ベルトが鳴くので張ってください”と言われることがあるのですが、そのころにはベルトが摩耗してプーリーに食い込んで張りが弱くなっていることや経年劣化でベルトの弾力が無くなってスリップしていることが多いです。
先ほどの縦に裂けたベルトは、摩耗を無視して張って使用した結果です。
ベルトメーカーでは、3万5000kmで交換を推奨しています。
ただ、先ほどのご説明の通り摩耗と経年劣化それに回される補器類の状態すべてのバランスで判断しなければならないので距離での交換はあくまで目安だと思います。
しっかりとした目を持った整備士の点検・判断を受けてくださいね。