ニッサン エクストレイル(T30) CVTフルード交換のご依頼です。
ご新規のお客さま走行距離12万kmと多走行ですので、CVTフルード交換を当店おすすめの交換方法で実施していただきました。
当店では、CVT・ATともに走行距離が伸びたお車では、単にフルードを抜き交換する方法ではなくオイルパンを外して内部を洗浄する方法をお勧めしています。
では、交換内容をご説明します。
①オイルをドレンプラグから抜き取りオイルパンを取り外します。
②オイルパンを洗浄して一度仮に組み付けます。
③新油を給油して、ミッション内部に循環させることで内部に残ったオイルをフラッシングします。
④フラッシングに使ったオイルを抜き取ります。
⑤再度オイルパンを取り外し洗浄して、同時にフィルターも交換します。
⑥新油で適正なオイル量に調整します。(診断機による油温管理のもと調整)
⑦テスト走行・車両によっては診断機にてリセットをして作業終了となります。
※内部の汚れがひどい場合③フラッシング工程をもう一回行うこともあります。
ざっとこれだけの手間をかけてオイルを交換します。
なぜここまでしなければならないのでしょうか?
それは、ミッション内部は大変精密で細かな油路やソレノイドなどで形成されていますので異物は大敵なのです。
しかし、構造上必ず鉄粉は発生します。
そこでオイルパン内部には磁石が付けてあり鉄粉を吸着させることでミッションに戻らないようにしているのです(写真①の丸いものが磁石です。)が、磁石につかまらなかった鉄粉はさらにフィルターでキャッチするような構造になっています。
それでもオイルパンの底には、かなり量の鉄粉が沈殿しているのが問題なのです。
オイルパンを外さずオイル交換をすると、新油を給油した際この沈殿した鉄粉が舞い上がりその鉄粉がフルードとともにミッション内部に回り込んだり、フィルターを詰まらせたりします。
当然、鉄粉がミッション内部を回って良いことなんてありません、精巧なミッションに鉄粉が回り込んでしまえばミッションの誤作動=作動不良となり壊してしまうことになりかねません。
良かれと思いATF・CVTフルードを替えることでせっかくおとなしく沈殿していた鉄粉を舞い上がらせてしまうなんてわざわざ壊しているようなものです。
先ほど紹介した方法でのメリットは、①オイルパンを外して洗浄することで底に溜まった多くの鉄粉を捨て去る、さらに③フラッシングでミッション内部に残っている古い鉄粉の混じったオイルを洗い流すことで確実なオイル交換(不具合を引き起こさない)ができるということです。
メーカーの指定ではこのような手間のかかる交換方法は指定されていませんが、私が今までオイル交換を繰り返してきてこれが最も最適な方法だと思い推奨しています。
世間ではミッションオイルを交換すると壊れるとか、交換不要などいろいろ議論されていますが、私の見解では交換しなくてよいオイルなどは存在しませんし、実際にミッション内部から多量の鉄粉が出てくることは事実です。愛車をよい状態で保ちたいのであれば交換は必須です!
それにオイルを交換すると壊れるなどということもありません。(そんなことを言っていたらオイル漏れの修理ができなくなってしまいます。)
しかし、交換には細心の注意が必要です例えば交換する前にミッションに何か症状が出ている(例えばシフトショックが異常に大きいなど)場合などはすでに壊れ始めているので、オイルを交換することでとどめを刺してしまうなんてこともあります。
交換前に診断機を当てて異常が隠れていないかチェックをしたり、走行テストを行って違和感がないか確認してから作業着手をしなければいけません。
車種によって指定交換サイクルは違いますがおおむね5万km走行前後までに初回のオイル交換はしておいたほうが良いです。あまり距離が伸びてからですとすでにミッション内部で鉄粉による劣化・摩耗が進んでいることが多いです。
初回交換が距離が短いようでしたら鉄粉の発生量も少ないのでオイルパンを外さない交換でよいと思います。(その交換方法でも当店ではフラッシングの工程は行います。)
2回目や距離が延びてしまった場合は今回紹介した方法を実施してください。
オイル交換はオイルを交換することが目的ではなく、愛車をよい状態に維持することが目的だということです。どこのお店でもAT・CVTのオイル交換は行っていると思いますがチェンジャーを使い簡易的に行っているところがほとんどで、当店のような方法を実施しているところは少ないと思います。
ミッションオイルに関してよく質問されることが多いです、疑問などありましたら是非ご相談ください。