VW POLO (6R 1.4L エンジンCGGユニット)
”走行中ピーという音とともに赤い温度計のようなマークが点灯したとのこと”
そのマークはオーバーヒートです! お客様すぐにエンジンを停めたとのこと被害が大きくなっていなければ・・・と思います。
すぐに引き取りに向かい、お預かりしてみるとエンジンの前側からかなりの勢いで冷却水が漏れてきます。
ウォーターポンプからかなりの勢いで冷却水が漏れています。
早速分解を始めます。
タイミングベルトを取り外しウォーターポンプを取り外します。
ウォーターポンプ単体点検をしてみると どうやらシャフトシールが悪くなり冷却水が漏れ出したようです。
ウォーターポンプの不具合ですがタイミングベルトを外しての交換になりますので同時にタイミングベルト一式も交換することになりました。
このエンジンはタイミングベルトが2本使われています。(上の小さいベルトはカムとカムをつないでいます。)
交換する部品点数はこれだけありこのサイズのエンジンにしては非常に多いです。
(丸い部品はテンショナーやアイドラプーリーといってベルトを張ったりする役目なのですが、中にベアリングが入っています。そのベアリングは回転とともに傷んできますので必ずベルトと同時交換をします。)
クランクには大変わかりづらいのですが歯車のひとつの角が落ちているところがありそこをブロックのマークに合わせます。(写真では白ペイントをして見やすくしています。)
その位置が1番圧縮上死点であれば、カムシャフトタイミングプーリーにSSTを差し込める穴がいい位置に来ますのでSSTを差込カムを固定します。(専用にSSTが本来ありますがボルトで十分です。)
上記の位置決めをしっかり合わせた上でタイミングベルトの交換を行います。
2本のタイミングベルトともにオートテンショナーを使用していますが初期の張り具合の調整は手動である程度調整が必要です。
カムタイミングベルトのテンショナー調整
矢印が台形のところにくるようにあわせます。
メインのタイミングベルトテンショナー調整
矢印がくぼみに来るように調整します。
全て組み付け、テンショナーの調整後さらに手でクランクを回してタイミングベルトの位置確認・テンショナーの張り具合を確認します。
どのメーカーでもタイミングベルトを交換するのに SSTを使用したり調整などがありますが、ここをしっかり確認して調整することは大変手間のかかることですが、非常に大切なことですので手を抜くことは出来ません。
国産車の交換などは比較的簡単なので”元通りに組めば大丈夫”と言われることが多いのですが、実は元通りに組めばよいのではなく”正確に組む”ということが大切なことなのです。
話はタイミングベルトのことばかりになってしまいましたが、新しいウォーターポンプを組み漏れも無く、オーバーヒートの後遺症もありませんでした。
こちらのお車、平成22年式 走行距離67000kmとまだまだ若い状態でしたがこのような不具合に見舞われました。
実は輸入車だから特別というわけではなく、国産車でもこのような不具合は起きます。
工業製品ですので部品の不具合が発生する当たり外れは必ずあるのです。
しかし、国産車との大きな違いは部品の価格や部品点数であったり作業の手間が掛かったりすることで修理代が高くなってしまうことでしょう。
それでも今回オーナー様こちらのお車大変気に入っておられ まだまだ大切に乗りたいとのことでした。
大きい修理になってしまいましたがこれからもかわいがってあげてくださいね。