ニッサン NV350ディーゼルのご入庫

車検でお預かりしましたがエンジンルームを点検すると部品の破損を発見しました。
アクチュエータのロッドがポッキリ折れてしまっています。


これはEGRクーラーに付く部品なのですがバイパスバルブをコントロールするアクチュエーターになります。
樹脂製のロッドなので折れてしまっていますが問題はこの先にあるバイパスバルブです。
完全に固着してしまい動かすことが出来ず、この固着によりロッドが折れてしまっているという不具合です。
当然バルブは作動していませんのでEGRクーラーをコントロールする機能は失われてしまっています。
部品としてはクーラーとバルブユニットのアッセンブリーでの交換になります。

取り外したバルブはこじっても動かないほど固着してしまっています。

交換後は軽やかにバルブコントロールを行えます。

かなりの頻度で起きる故障ですので設計に何か改善策を織り込まないと再発の恐れが考えられる作りです。
そもそもこの部品はどのようなことを行っているかと言いますとEGRと呼ばれる排気ガスの一部を吸気側に戻すシステムの一部になります。
EGR本体の役割は割愛しますが、排気ガスを吸気に戻すことから、高温の排気ガスを吸気側に戻すことは熱的に効率を落とすため間にクーラーを入れて排気温度を下げることを目的としています。
EGRバルブ故障事例
常にクーラーを通すことも効率を悪くするためバイパスバルブでクーラーを通す/通さないをコントロールする訳です。

しかし排気ガスを通すため排気ガス中のススがバルブに付着するためバルブの動きを阻害してこのような不具合に至ります
実際クーラーの出入り口もこのように真っ黒ですのでいずれは詰まってしまうでしょう。

今回はEGRバルブ本体の不具合ではなく空燃比などに影響を与えませんので止まってしまうなど重篤な症状にはなりませんし、クーラーを通す通さないも効率が悪くなるというレベルですので走行に支障をきたすことはありません。
ゆえに壊れていても気が付かない不具合とも言えるでしょう。
しかし設計段階で必要であるから搭載した機能ですので正常に作動していなければなりません、排気ガスが通るためこのように汚れるのは当然のことですがこのようなトラブルもある程度見越した耐久性や壊れたときに知らせる機能なども考えて設計しておく必要があるのではないでしょうか?