アルファロメオ 147ツインスパーク のご入庫
クラッチペダルの感じがおかしくその時はバックギアにも入らなかったとの事。
しかし点検してもペダル操作力に違和感は有りませんしクラッチも切れない感じはしません。
クラッチペダルの踏力も悪くないことからクラッチ板の摩耗はそれほど進んでいないと思われます。
油圧の操作系統はフルードの漏れも見当たりませんし、フルード量の減少も見受けられませんでした。
ただ、お客様が訴えていたバックギアに入れられなかったという症状はクラッチが切れない症状で間違いなく油圧系統の不具合のように感じますが、漏れなど明確に無い為外部からの診断では故障個所の断定が出来ません。
しかし12万km走行していることからクラッチの摩耗も進んでいるので、お客様はクラッチのオーバーホールを決断されました。
トランスミッションを降ろします。
そこに今回の不具合原因がありました!
レリーズシリンダーからわずかにフルードが漏れています。
このミッションはレリーズシリンダーとベアリングが一体になっているタイプです。
※147TSでもセレスピードではフォーク式になります。
ベアリングを真っすぐ押すことが出来るのでプレッシャスプリングに均等に力が掛かる面では優れているのですが、ベルハウジング内に油圧シリンダーを入れてしまうため今回の様に漏れた場合はミッション取り外さなければわからなかったり、交換できなかったりするのが欠点です。
シリンダーからのフルードが漏れるということは逆にエアが噛み込む可能性もあるということになります。
症状が起きた時はエアがわずかに噛み込んだことでクラッチが切れなくなったが、エアが抜けてしまい症状も消えてしまったのでしょう。
症状の原因はシリンダーでしたがミッションを降ろすような大きな作業を行う場合は外した時にしかできないものに関しては極力交換を行うということです。
クラッチ板は想像通りそこまで摩耗の進展は有りませんでしたがもちろん交換します。
エンジン後端のクランクシャフトオイルシールもこの時にしか交換できません。
ツインスパークエンジンではバランサーシャフトメクラもよく漏れますので交換します。
クラッチ交換で忘れてはならないのはフライホイールの平面研磨です。
クラッチ板の当たり面は必ず平面を失われてきますので平面研磨を行いまっ平らな状態で新しいクラッチ板を組み付けます。
これを怠るとせっかくクラッチを交換してもジャダーを起こし非常に不快な症状に悩まされます。
今回はレリーズシリンダーの漏れがきっかけでクラッチオーバーホールになりましたが、クラッチは消耗部品ですので必ず交換時期は訪れます。
平成17年式 走行距離12万kmでしたのでメンテナンスの時期だったとも言えます。
どの車両でも同様の作業を行うのですが中途半端な作業を行い、やり直すことも多いのもクラッチオーバホールです。
故障事例 リンク
価格だけにとらわれずどのような内容で行うのかしっかり確認しなければなりません。