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ブログ内の整備・修理等各記事の作業内容や作業方法のご質問にはお答えできません。 また、作業料金についても車両を当社まで入庫いただき、実際に見させていただいてからのお見積りとなります。 概算の金額についても電話やメールではお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

故障修理・整備 いすゞ

いすゞ エルフ(NJR85)DPD分解洗浄②

強制再生もできなくなったこちらの車両、各部点検してDPDに詰まりがあることが確定したので分解洗浄を行うことになりました。
いすゞ エルフ(NJR85)DPD分解洗浄①

外したDPDはこのような形をしています。

中は酸化触媒とDPDのセクションに分かれます。

初めにエンジン側の酸化触媒の入り口を見てみます。

ここはエンジンから出てきた排気ガスをもろに受けるところになりますが大きなススの塊で半分近くふさがっています。

次に分解していきます。

DPDの入り口側はパッと見た感じあまり汚れていないように見えます。

 

早速酸化触媒から洗浄を始めます。

黒いすすが大量に出てきます。水で洗浄しますが初め通りが悪かったのが、ススの排出とともにスムーズに通るようになっていきます。

 

次にDPDです。

赤い泥水のようなものが大量に出てきました。いつまで経っても出続けてきます。

 

かなり時間を掛けて洗浄を繰り返してようやく綺麗な水が通るようになって洗浄は終了。

水分があまり残っているのは危険なのでエアブローして水分を出来る限り排出します。

洗浄後の姿は見た目そんなに変わりはないようです。

新しいガスケットキットで組み上げていきます。

車両に復元してエンジンを掛けますが中に残った水分が、排気ガスの通りを悪くしていますので無理をしないようにアイドリングで排気熱を与えて乾かします。

だんだん暖まってくると排気管から蒸気が出てきます。

蒸気が出ている間は差圧も大きいので無理せず蒸気が無くなるのを待ちます。

 

蒸気が出なくなり差圧が下がれば、水分が完全に除去で来たことになるので再生モードでDPDを再生します。

するとあれだけ排気温度が上がらなかったのが600℃を超えます。

 

再生が終わって再度差圧を点検した結果がこちら。

アクセル全開の同条件下で3kpaでほぼ半分に下がりました。アイドリングでも0.1kpaでほとんど差圧が無いのが確認できます。

差圧が少ない=詰まりがほとんどない

ということになります。

再生が上手くいかなかった時に懸念していた排気用インジェクターも排気温度600℃を超えていますので問題がなく噴射していると判断できます。

今回チェックランプが点灯してDPDの再生が出来ないという不具合は解消しました。

 

しかし、この症状に至る真の原因というものがあるのですが修理にあたる予算などの問題でここまでの作業となりました。

 

人に例えると便秘を起こしておなかが痛いのを詰まりを解消させたところまでが今回の作業ですが、生活習慣や便秘に至る何か他の病気(故障)など,どの要因が原因なのかは使用方法(生活習慣)の改善や燃料に添加する洗浄剤(サプリメント)を処方して経過観察することになりました。

この車両はダンプであるためアイドリングでの使用時間が長いことも要因になりますし、エンジンがあまり暖まっていない中で走らせたりすることでススを多く出してしまうシチュエーションが多いかも知れません。

またはインジェクターの噴霧状態が悪くススが出やすいなど他の部品が原因かもしれません。
※ディーラーなどは一発修理を求められるのでDPD洗浄や交換をする場合はインジェクターも同時に交換することが多いそうです。

 

次にDPDを洗浄して出てきたあの赤い泥のようなものは何だったのでしょう?乾くとこのような粉状になりました。

これは灰(アッシュ)でススを再燃焼した後の燃えカスです。

これがDPDに大量に溜まっていたのです。

そもそもススとは軽油が生焼けになった状態で、軽油粒子の外側だけ燃えて中心部に燃えていない軽油が残っているため再生モードの様に再加熱することでススは燃え上がり灰になります。

ススを灰にすることでDPDの詰まりを解消する仕組みなのですがあまりにも多いススは大量の灰を作りますので結果としてDPDは詰まり再生モードも出来なくなるのです。

 

ですから根本的な対処は、ススをいかに出させないかということが重要になるのです。

現代のディーゼルエンジンの設計では新車時のような良い状態であればススはほとんど出ないのですが、使用過程で排気温度が高くならないような長時間のアイドリングやエンジン稼働の短さにより燃焼温度の低い状態でススの発生を増やしエンジン内部に汚れが堆積したりインジェクターの噴霧状態が悪化することでススの発生が助長することでDPD自体のつまりなど最終的症状として現れるのです。

自動車メーカーでも診断フローチャートの中で、使用者の癖や状況が大きな影響を与えることが点検項目に記されています。

お客様には使用方法のアドバイスをしてお返ししました。

自動車は進化の過程でメンテナンスフリー化が進んだ一方で、環境問題に対応するため様々な機能を搭載して複雑化したためシステムは繊細かつ脆弱になりました。

今回紹介した車両の後のモデルはアドブルーを搭載して燃焼温度を高く維持できるようにしたのですが、そのアドブルーですら様々な不具合を起こしているという意味では繊細で脆弱というところは変わりないと言えます。
アドブルー故障事例

乗用車でもクリーンディーゼル搭載車両が増えましたが、ユーザーサイドも自身が乗る車両の特性を知らずに合わない使用方法を繰り返していると痛いしっぺ返しが返ってくることを知らなければなりません。

 

 

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