BMW 525i(E60)のご入庫
バッテリーが上がり走行不能になりディーラーに搬送されたとの事。
しかし、見積もりがあまりに高額なため何とかならないかということで当店に依頼されました。
再搬送していただけなければいけませんのでお客様の方で搬送依頼を掛けて持ってきていただくことになりました。
ところがレッカー業者から”シフト操作してもギアが入らないのでどうしたらよいですか?”との電話。
バッテリーが上がっただけならばチャージすればよいのでは?とあまり深く考えずにアドバイスをしました。
数時間後なんとか積み込みが出来たようでレッカー業者が車両を搬送してきました。
入庫して点検をしてみるとやはりバッテリーはすっからかんですのでまずは新しいバッテリーに交換します。
しかし正常にエンジンは掛かりましたが何かおかしいです!
メーターは何も映りませんし、シフトレバーを操作してもギアが入りません!これをレッカー業者は言っていたのです。
何か異常が起きているので診断機をつないで確認してみると。
無数の故障コードの中に高電圧異常のコードが・・・
車両電圧が18V!!すぐにエンジンを止めます!
本来12~14ボルト代で電圧をコントロールされていなければならないものが18ボルトもの高い電圧が掛かっています。
これでは様々な電子制御部品が壊れてしまいますので緊急に停止したのです。
原因はオルタネーターのボルテージレギュレーターです。
オルタネータは発電を行う部品で その発生電圧をコントロールするのがボルテージレギュレーターで元々は別々の部品でしたが、現代ではブラシホルダーと一体になっているのでオルタネーターアッセンブリーとなりひとつの部品としてみなします。
※部品として供給されているものもあります。
ボルテージレギュレーターが壊れたことでオルタネーターの電圧制御が効かなくなり18ボルトもの高電圧を発生させてしまうオーバーチャージ(過充電)を起こしたのです。
オルタネーターアッセンブリーを交換後、検出していた無数の故障コードを消去して様々な電子部品にダメージが及んでいないかチェックしていきます。
バッテリーは高電圧にさらされて壊れましたので交換いたしました。
電子制御のシフトレバーが操作できなくなったのも、メーターが映らなくなったのもすべて高電圧異常で様々なコンピューターが機能停止したことで起きた不具合でした。
この故障は他の部品を壊すだけでなく、電気火災にもつながる危険な故障ですので大事に至らなかったことは幸いでした。