ダイハツ ムーブラテ(L550)のご入庫
ご用命は、信号待ちでエアコンの効きが悪いので診てもらいたいとの事。
しかし問診をしていると気になるワードが出てきました。
・発進加速が悪くなった
・加速時エンジンからカラカラ音がするようになった
上記2点の不具合が出るときは、決まってエアコンの効きも同時に悪くなったそうです。
単純にエアコンの異常だけではない気がします。
問診内容から怪しい部品を見立てて点検をするとすぐにわかりました。
これは電動ファンでエアコンが入っているときは常に回っていなければならないのですが、回わらずモーターを小突いて刺激を与えるとゆっくり回り始めました。
ファンモーターが壊れて回らないことが原因です、モーターを交換して不具合は解消しました。
では問診で何がわかったのでしょう?
まずエアコンの効きが悪くなったという症状は、停車時冷却ファンでエアコンコンデンサーの放熱が出来なくなったためです。
コンデンサーでは冷媒ガスの圧縮熱を外部に放熱することで室内を冷やしますので、コンデンサーで熱を捨てられないとエアコンの効きが悪くなります。
冷媒回路はこのようになっていて、コンデンサーで冷媒圧縮熱を放熱する役目をしています。
次にエンジンの異音や加速が悪くなったこととの関連性は何でしょう?
実はこの冷却ファンはエアコンのコンデンサーとエンジンのラジエーターの両方を冷やす兼用タイプだったのです。
このエンジンの不調は、水温が上がりオーバーヒート気味になったことでノッキングが発生して加速不良とノッキング音を起こしていたのです。
信号待ちでエアコンが効かなかったり発進加速が悪くなったのは、停車時走行風が当たらない状態で電動ファンが回らず放熱できなくなったことが原因です。
走行中は走行風が当たることで冷却できていたため、症状が出なかったわけです。
この車両には水温計は無く警告灯のみのため水温異常には気が付きませんでした。
しかしもっとひどい状態になればオーバーヒートでエンジンを壊してしまうところでしたので早めに気が付いてよかったです。
コンパクトカー以下の車両は電動冷却ファンが兼用であったり、水温計が省かれていることも多いので異常に気が付くのが遅れますので注意が必要です。
単にエアコンが効かないという不調の陰で重大な危機が潜んでいることもありますのでご注意を。