ダイハツ ミラジーノ(L700S)のご入庫
ご依頼は、クラッチが重たく操作が上手くできないとの事
確かにクラッチペダルも重くミートポイントもわかりませんし、操作するとギーギー音もしますのでクラッチの交換が必要そうですが、お客様とお話を進めていくと どうもそんな簡単なことではなくかなりクラッチのことで苦労しているようです。
実はこの車両はミッションをすでに2回も降ろして作業を行っているそうです。
はじめ他店にてクラッチオーバーホールを行ってしばらくしてミッションのフロントオイルシールからオイルが漏れ出してしまい、再度クラッチを交換せざるえない状態になりその時にミッションを交換することになったとの事。
しかし、ミッションを交換してやり直した作業の後から今度はクラッチペダルが重く異音もするようになってしまって困り果てて当店にご来店になりました。
その間もクラッチオペレーションワイヤーもお客様自身で交換を行ったりしたが変わらなかったとの事でした。
よくよくお話を聞いてみて2回目のミッション脱着の際に何かおかしなことが起きたとしか考えられませんでしたので当店で再度ミッションを降ろすことにしました。
作業に取り掛かります。
ミッションを降ろして原因はすぐにわかりました。
本来はこのようになっていなければなりません。
レリーズベアリングとレリーズフォークが上手くハマってなくベアリングが斜めになってしまっています。
組み込む際にレリーズフォークを外せばいいものを無理に組み付けたのでしょう。
こんな状態ではうまくクラッチが切れないのも当然です。
残念ながら当店の作業ではこれを組み治して終わりというわけにはいきません。
なぜなら組み付けの悪い状態で動かし続けた影響がクセとして残ってしまい後々ジャダーなどの不具合を引き起こす可能性が有るからです。
実際にクラッチカバーのベアリングの当たり面は不安定な当たり方をした跡があります。
フライホイールも不均一に当たったため まだらに部分的に焼けていますので、研磨して平面を出さなければなりません。
クラッチフォークにも傷がついていますので交換します。
もったいないのですがこのような怪しいものを残して後々不具合が出てしまっては意味がありませんので今回の作業では徹底的に不良個所は除外していきます。
2回もミッションを降ろしているのに行われていなかったであろうエンジンのリアオイルシールもエンジンオイルが漏れていますので交換します。
こちらのオイル漏れもお客さんからの気になる点として指摘があった部分です。
このオイルシールの交換はミッションを外した時にしかできませんのでクラッチオーバーホール(ミッション脱着)を行った際には必須整備項目になります。
このように行った作業後は当然すべて正常な状態に戻ります。
当たり前のことなのですが当たり前が行われていないことが原因で不具合が起きてしまったということがお分かりになるかと思います。
クラッチオーバーホールの様にミッションを降ろすような大きな作業の場合、一度で作業をしっかり終えないと、やり直しは初めの作業よりも大きな作業になってしまいます。
今回の様に施工店と再修理を行う店舗が違う場合はどのような作業をしたのかすべて疑いながらの作業になるので後者の業者は大変困難な作業になります。
そもそも整備終了後に整備した者が異変に気が付かない(気が付かないふり?)ということ自体があり得ないことで、気が付いたのならばやり直せばよいことですぐにやり直していればここまで大きなことにならずに済みましたし、お客様からの信頼も失わずに済んだのです。
ユーザーは、金銭・時間・精神的にも負担を虐げられる事例でした。