AM General Corporation 軍用車のご入庫です。
1970年代のベトナム戦争時代のアメリカ軍車両です。
車検でのご入庫ですが、エンジンの掛かりが非常に悪く、掛かっても黒煙が尋常ではないほど出ていますので何か異常が起きているのは間違いありません。
状況からして燃料が濃く黒煙が出ているのでキャブレーターを分解してみます。
非常にシンプルなキャブレータです。
分解していくと内部のダイヤフラムが破けていました。
この部分はパワーバルブと呼ばれるところへの通路の開閉をするダイヤフラムです。
破けたことでアイドリングの時からメインジェット(パワーバルブ系統)から燃料が大量にエンジンに送り込まれたのが原因でした。
お客様、スペアのキャブレーターをお持ちでしたので良い部分を組み合わせることで不具合は解消することが出来ました。
この車両は、戦地で使用するためトラブルが起きても対処できるよう構造は非常にシンプルなつくりをしています。
しかし、想像を絶するような悪路を走行することも想定されているので一般車両では水につかって走行できないような状況でも走行できるようにすべての装置が密封されているような複雑さもあります。
50年前に戦地で同様の修理をしていたかもしれません。
故障=死 が直結した世界は平和な我々には想像も出来ません。
整備しながら考えさせられます。