メルセデスベンツS350(W221)のご入庫
他の整備で御入庫の際、ブレーキパッドの残量の少ないことに気が付きました。
パッドの残量が少ないのでパッドを交換するのは当然のことなのですが、欧州の自動車ではもう一つ注意して見なければならない部品があります。
ブレーキのディスクローターです。
ご覧の様にレコードの様になって摩耗してしまっているのがお分かりになると思いますが。欧州の自動車メーカーのブレーキに関する考え方はパッドと同様にローターも減る材質で造るということです。
ディスクローターは鉄製なのですが鉄の材質が国産よりも柔らかいのでしょう、このように摩耗してしまうのです。
ディスクローターには厚みの最低限度がありますのでそれを下回った使用は厳禁です。
では、こちらのお車のディスクローターの厚みはどれくらいでしょう。
29.67mmです。このディスクローターの最低厚み限度は30.0mmですのでこの時点で限界を下回ってしまっていました。
ブレーキディスクとパッドを交換します。
こちらのお車、走行距離は4万km台で初めてのブレーキ交換だと思います。
ということはブレーキパッドとブレーキディスクは同様の摩耗率ですので、毎回同時に交換することが必要だということになります。
国産車では考えられないのですが、これが欧州車独特のブレーキフィーリングを生み出している設計ですので、思想が違うことはしょうがありません。
ディスクが薄くなれば強度が足りなくなるのはもとより、パッドが摩耗した際はキャリパーピストンが出すぎになりますのでそれも大変危険なことになります。
ディスクローターも交換するので国産車よりも費用は掛かるのですが、安全のためにくれぐれもパッドだけでの交換を行わないようにしてください。