MINI クラブマン クーパーS(R55)のご入庫
ご用命は、エンジンの掛かりが悪く、かかった後もしばらく調子が悪いとの事。
診断機にて故障コードの内容を確認してみます。
直噴エンジンの2次側(高圧)の燃圧が低いことを検出しています。
直噴エンジンの場合燃焼室内に直接燃料を噴射するため、燃料タンクから1次側のポンプで送られた燃料をエンジンに取り付けられた2次ポンプ(高圧ポンプ)でさらに圧縮して圧力を高めます。
この圧力が上手く上がっていないという故障コードですが、直噴エンジンのこの高圧ポンプの故障は非常に発生頻度が多い部類にあてはまります。
始動時の燃料圧力がどのように推移しているかモニターしてみます。
始動直後の燃料圧力が低いことがわかりました。
※グラフの目盛りサイズの違いに注目
高圧ポンプはエンジンのカムシャフトで駆動しているので、エンジン始動と同時に燃料圧力は高圧にならなければならないのですが、1Mpaにも達していません。
これが掛かりが悪かったり、かかった後も調子が悪くなった原因です。
新しい高圧ポンプに交換した後の圧力はこのようになりました。
始動と同時に8.8Mpaもの高圧になっています。
このように瞬時に高圧に立ち上がるのが正常な状態です。
理論的に直噴エンジンは内燃機関としては非常に理想的なシステムなのですが、構造が複雑になりその分故障に見舞われる確率が高くなったり、修理代(特に部品代)が高くなることが大きな問題です。