アルファロメオ アルファGT2.0のご入庫
ご用命は、
”購入したばかりだがセレスピードがギクシャクするのでセレオイルの交換などをしてもらいたい”
”セレスピードがどんなフィーリングが正常なのかわからない”
との事でした。
このようなお話はよく聞くことです。
セレスピードはギクシャクすることが当たり前で、”その気難しいシステムを乗りこなす事こそアルファ乗り”だなどと購入先に言われたという話をよく耳にするのですが、実際には間違った情報でありセレスピードの評価をさらに下げる話で非常に残念です。
正常な状態のセレスピードはCityモードで走ってもギクシャクするような自動変速はしませんしマニュアルモードではパドルシフトで気持ちよく操ることが出来るのが本来の姿です。
今回もご来店されお客様と同乗してテスト走行すると、とてもじゃありませんが走れるような状態でないことがすぐにわかりました。
それにエンジンのチェックランプも点灯していますし、車両からガソリンの臭いが漂っています!
セレスピード自体の故障うんぬんよりもエンジンやそのほかの点検修理が必要であることをお伝えして緊急入院してもらうことになりました。
まず、ガソリン臭は定番故障である燃料ポンプからです。
昨今の車両はどのメーカーでもインタンク式のこのような形状のものを使用しています。ケースが樹脂で作られているため割れて漏れ出すのです。危険な故障ですのでここの交換は最優先です。
次に、診断機を当てて先ほどのチェックランプがなぜ点灯したのか読み出します。
故障コードがたくさん記憶されています。
P0300/0302/0303これはミスファイヤーと言って回転にばらつきがあった場合記憶されます。
P1172/1173/1175/1176これはO2センサー系統の異常を表しています。
しかしミスファイヤーにしろO2センサー異常にしても同時多発的に検出する場合は大元の空燃比などに異常があることが多いです。
※故障コードを鵜呑みにせず検証することが大切です。
空燃比とは混合気の濃さを表します。空燃比エラーの要因は様々ですがもしかしたら燃料ポンプが漏れているため燃料の圧力が低く空燃比が薄くなった可能性も在ります、しかしそれにしても走れないほどエンジンがばらつくのはおかしいです。
エンジンルームを点検するとその答えはすぐに出ました。
エアインテークホースが破けています!!
2カ所破けていて片側はテープが巻いてありましたので前のオーナは既知故障だったようです。しかし別の部分も破けてしまっていました。
エンジンに入る空気量はエアマスセンサーで計測します。エアマスセンサーからの信号を元に燃料の噴射量を決める重要なセンサーです。
インテークホースが破ければ計測した量よりも余分な空気が割り込まれるため適切な空燃比にならず調子が悪くなるのは当然のことです。
結果、エンジンの出力が安定せずギクシャクした走行になっていたのでした。
燃料ポンプを交換
エアインテークホースを交換
エンジンが正常になったところでようやくセレスピードの点検を行います。
セレスピードユニットから若干オイル漏れが起きてはいますがクラッチロッドの調整とキャリブレーションでかなり良い状態になりました。
しかしクラッチのストローク量がかなりずれていたので近いうちにクラッチオーバーホールが必要です。
今後もメンテナンスを行ってほしいところをよく説明して退院して頂きました。
アルファロメオのセレスピードは初期の発売から10年以上たちます。本来の姿を知らない方が乗られていることが多いのが現状です。
それにセレスピードの故障は多岐にわたるためその故障修理のノウハウを知らない修理屋さんも多いのが実情です。
アルファロメオは自動変速をさせることを一番の目的としてセレスピードを開発したわけではなく、クラッチ操作をしなくてもスポーツ走行を楽しむためのシステムと考えています。
※現にATの設定車両もあります。
スポーツ走行を楽しめるようなシステムが操作が難しくギクシャクしているようでしたらそれはすでに故障していると考えてください。
調子の悪さをイタリア車だからこんなものと言い聞かせて乗るのは辛いものです、本来の姿は非常に操ることが楽しい車たちなのです。