夏場で多いトラブルといえば、エアコンの効き不良でしょう。当店でも、夏場はこのトラブルでの入庫が非常に増えます。
しかし、簡単に効きが悪いといっても原因はさまざまにあります。
主な原因として
①機械的なトラブル→電気・機械を問わず部品に不良がある場合です。部品交換が必要になります。
②エアコンガス量の不適切→エアコンガスの量が足りない等、ガス漏れが主な原因
機械的なトラブルであれば修理工場で修理をするしかないのですが、②のガス量低下は実はガソリンスタンドなどで”ガス補充します”なんてよく見かけませんか?修理工場以外でもやるところが結構多いのです。
ここに大きな落とし穴があります!!
エアコンの効きが悪い=ガス補充
これが、一般的にまかり通っているのです。
エアコンガス量というのは、適量というものがあり多くても少なくても冷え不良を引き起こす原因になります!
当店で最近多いトラブルとしてエアコンガス量の過多(入れすぎ)による冷え不良なのです。
エアコンシステムは、コンプレッサーという圧縮機を使ってガス圧を高めることで冷やす構造になっているのですが、圧が高すぎるとシステムの破損保護のためコンプレッサーを止めるようになっています。
適量以上にガスが入っている場合、ガス圧が高くなりすぎコンプレッサーを止めてしまう為冷えなくなってしまうのです。
ガス圧は外気温に非常に影響を受けるためそこまで暑くない時には圧は上がらずエアコンのトラブルには気が付かないのですが、エアコンが効いてほしい猛暑の時に圧が上がりすぎコンプレッサーを止めてしまいこの症状が現れるのです。
旧来のシステムでは、エアコン配管の一部にサイトグラスと呼ばれるガラスののぞき穴があり直接ガスの流れを見ながらガスチャージ量を調整していました。
しかし、現代の車はガスチャージはガスの質量(重さ)で管理するため”この車には何gエアコンガスが入るシステムです”と決まっています。
ですので、単に効きが甘いからと適当に補充すると先ほどのようなトラブルが発生するのです。
では、今入っているガス量はどうしたらわかるのか?ということになるのです。
これは、専用の機械を使い一度ガスを回収機に取り込み、回収したガスの質量を正確に計測しない限り分かりません。
適切なガス量を充填した上で、高圧・低圧側の圧力を計測して他に機械的なトラブルがないか診断しなければ、本当の意味でのエアコンシステムの良否は判断することはできません。
エアコンガスは正常な状態でも年間1割程度外部に放出してしまうといわれています。ですので永く乗っていれば当然ガス量は低下しますのでいつかは補充を行わなければなりませんが、その時にいかに適切な処置を施さなければならないかということが大切になります。
良かれと思い補充を行いかえってトラブルを呼び込んでは元も子もありません。
ガスチャージの設備があるお店も多いのですが、その機械を適切に使用してかつ車両の状態を正確に判断できる技術を持ち合わせていなければなりません。
信頼のおけるお店で、診てもらうようにしてください。