ワゴンRスティングレイ(MH22)のご入庫
”エンジンからすごい音がするようになったのですが乗っていて大丈夫ですか?”とのご連絡
電話越しにどのような状況かよく聞かせていただくと、どうやらエンジン本体からの異音で乗り続けることは危険と判断しました。
積載車で引き取りに行き、エンジンを掛けるとけたたましい金属音です!これはエンジン本体内部を駄目にしてしまったようです。
このような金属音を発生させてしまいました。動画
実はお客様、少し前からメーター内の赤いランプがブレーキを掛ける時にたまに点灯することに気がついていたそうです。
もう少ししたら私の工場に持って行こうと思っていたそうなのですがどんどん音が大きくなりたまらず電話をかけたそうです。
この金属音はエンジンの中で金属同士が激しくぶつかり合っている音で壊れて動かなくなる寸前なのです。
では、何が原因でこのような事態に陥ってしまったのでしょう。
それは、メーター内の赤いランプが教えてくれていたのです、それが!
オイルプレッシャー警告灯です!
エンジンオイルはポンプで圧送しています(オイルプレッシャー)が、その圧力が無いことを警告しています。
オイル圧力が無い=オイルで潤滑が出来ない=金属同士が激しくぶつかり壊れる
このような状態になっていることを教えてくれているのです。
もちろん、金属同士が激しくぶつかったのであればそこは磨耗して最悪、焼きついたりエンジンを突き破って壊れたりとする大変危険な状態になったのです。
壊れたエンジンを分解してみると・・・
真っ黒です!!
これは、明らかにエンジンオイルのメンテナンス不良が原因です。
汚れたオイルは、細かな油路を詰まらせたり潤滑不良を起こします。
ピストンのオイルリングも詰まっていましたのでシリンダーのオイルを掻き落とすことが出来ずオイル消費も増えていたはずです。
結果としてオイル量が少なくなって吸い上げることが出来なくなったと思われます。
オイルは循環出来なくなり潤滑不良を起こし、金属同士が激しくぶつかり合う部分が現れます。
このエンジンでは、3番シリンダーのコネクティングロッドのメタルがそこに当たります。
メタルと呼ばれる金属の表面に薄くオイル膜を張ることで金属同士の接触を防ぎながらスムーズに回転もするようになっています。
他のメタルと比べれば、焼き付く寸前だったのがわかります。
あの音の原因は、ここがすり減って金属同士がすり減り隙間が出来たことで打音が出ていたことです、いずれここは焼き付いでコンロッドが折れてブロックを突き破ったでしょう。
実は車両火災という最悪の故障原因にエンジンの焼き付きが非常に多いのです!
焼き付いて内部の部品がブロックを突き破り、そこから噴き出たオイルが高温のマフラーに掛かり発火することが原因です。
単にエンジンが壊れて、止まるなんて甘い話ではないのです。
このエンジンのオイル交換の指定はこのようになっています。
5000km~10000km/3~6ヶ月毎のどちらか早い方で交換するようになっています、しかし先ほどの汚れ具合からして守っていたとは到底思えません。
軽自動車のエンジンオイル交換はどんな高性能オイルを使ってもそんなに費用は掛かりませんし、よほど過走行でもなければ年に2回ほどの交換で済みます。
僅かこれだけのコストを渋り、これだけの惨事を起こすのはいかがでしょうか?
自動車は機械です、勝手に治ることもありませんし放ったらかしでは当然壊れます。
公道を走る以上、他の人様の迷惑になるようなことはいけません、自動車を所有することは適切な維持・管理をして安全を確保する義務もあることをご理解してもらいたいです。
もし、機械に疎く何もわからないというのであれば信頼のおけるプロに助言を求めてください。
今回の故障は、単にお金が掛かった修理をしたのではなく、ご自身も周りの人にも危険を及ぼす可能性があったことをご理解いただけるようにご説明いたしました。