アウディA7(4G)
メーター内にACC関係のエラーが出ているとの事。
ACCとはアダプティブクルーズコントロールの略で様々な運転支援の総合名称でカメラを使用して前方車両との間隔を保ったクルーズコントロールや衝突回避などを行うシステムになります。
診断機にて故障コードを読み出すと
U111300:エラー値受信による機能制限
上記故障コードを検出しました。
どうやらこのシステムではフロントカメラ内部の基盤故障でこのような故障コードを検出することが多いそうで、お客様自身も情報を把握しており物は試しで中古のカメラユニットを持参でいらっしゃいました。
まずは中古のカメラユニットに交換します。
中古品に交換して先ほどのエラーコードは出なくなりましたがステアリング関係のエラーなどを検出してしまいます。
現代の車両はそれぞれのユニットに個体識別コードが書き込まれるため他車から取り外したユニットを取り付けてもユニット間で相互認識が出来ないためエラーが出てしまうことがほとんどです。
そのため中古ユニットは使用できませんが、取り替えてみたことで初めに出ていたエラーコードの検出は無くなったので、やはりこのカメラユニットに問題があることは確認できました。
しかし次に立ちはだかるのはこのカメラユニットの部品代です、あまりに高額な為おいそれと新品に交換しましょうというレベルではありません。
そこでコンピューターなどの基板修理を得意とする業者さんにこのような事象の修理の可否を伺ったところ100%ではないが出来ると思うとの回答でした
やってみなければわかりませんし、いきなり新品に交換することの金額の負担を考えるとトライする価値があるため現品修理依頼を行いました。
修理したカメラユニットを取り付け故障コードの検出が無いかドキドキしながら診断機でコードを読み出したところアクティブで出ていた故障コードがきれいに消えました。
これで修理完了と行きたいところですがこのようなカメラやレーダーなどの運転支援に使用するセンサーなどは脱着した場合エーミングと呼ばれる校正を実施しないといけません。
エーミングはそれぞれの自動車メーカーで出されているターゲットと呼ばれる基準に対して自動車をまっすぐ正しい位置に向い合せにしなければなりません。
この作業がエーミング作業で非常に重要なことになりますので、正確に位置出しを行います。
正しくターゲットに向い合せた後はスキャンツールで車高の高さなど入力した上で・・・
キャリブレーションを実施します。
キャリブレーションを行ったことでエーミングも完了してすべての修理が終了しました。
今回の事象はカメラユニット内部の基板に使われているハンダに問題があるようで発生頻度は比較的多いそうです。
安全運転するための一環で様々な運転支援装置が装着されるようになりましたが、そのシステムを作動させるためにセンサー・カメラ・レーダーなどが多数装着されるようになりました。
その一つ一つの部品は非常に高額であるためそれ自体で頭を悩ませることになるのですが、それ以外にも非常に精密に制御するためエーミング作業が必須になってしまったことでさらに工賃までもかさんでしまうというのがカメラ・レーダーが絡んでくる故障の大きな問題点と言えます。