自動車に使用される灯火類は周りに自車の存在を知らせたり、これからどのようなアクションをするかを知らせる非常に重要な役割をします。
昔から役割自体に大きな違いはありませんが発光体の種類が最近では大きく変化してきました。
従来はこのようなフィラメントを使用した電球を使用していました。
少し進化したものでフィラメントを使用しているもののハロゲンガスで光が強くなったものもあります。
どちらもフィラメントを使用しているという意味で熱エネルギーを光源とする種類になります。
しかし最近は熱エネルギーを光源として使用しない発光体を使用したものが増えてきました。
それは発光ダイオード(LED)です。
LEDはダイオードという半導体でフィラメントのように熱エネルギーを使用しない全く違った仕組みの光源となります。
メリットは発熱量が少なく使用電力が少ない・長寿命など多くあり、家庭用の電球などもどんどんこちらにシフトして普及してきているのでなじみ深くなってきているかもしれません。
自動車ではフィラメントの電球を使用していたランプもどんどんLEDに置き換わって使用率が増えてきています。
電球と違いダイオード自体は球切れのようなことは起きず非常に長寿命なのですが、実際に不灯火にならないのかと言うとそういうわけにはいかないようです。
LEDランプの故障事例を紹介します。
ハイマウントストップランプ
LEDが出始めのころは光度も弱く、色も限られていたためメーター照明などに採用されてきて、エクステリアに使われ始めたのがハイマウントストップランプだったのでなじみ深いのですがその分使用期間が長くなりトラブルも多いランプとも言えます。
LEDが採用され始めたころは砲弾型のLEDでした。トヨタの車両ですが平成一桁の時代ですので30年以上前になります。
部分的に点灯していなかったり点灯していても薄く点いているため光としてまばらで保安基準は不適合になります。
次に海外の車両ですが部分的に点灯していません。
アッセンブリーで交換するしかありませんが非常に高額になることが頭を悩ませます。
国産・輸入車問わずアッセンブリー交換になったハイマウントストップランプたち。
次に最近LEDが多くなったテールランプ
一番左だけが点灯していません。
発光体であるLEテールランプ内部にLEDの基盤が入っています。
LED自体はランプと一体でコネクターでこの基盤につながっています。
LED自体の故障ではなくこの基盤の故障なのですが自動車メーカーからはこの基盤の単体供給はありませんので純正での修理方法はランプアッセンブリーの交換になります。
ただこの車両の場合この基盤を社外品で供給されているため部分修理が可能でした。
※社外部品の供給元が隣の大陸製のため信頼性に不安を覚えます。
次にサイドウインカーに使用されているLED
内部はこのような基盤に黄色いLEDチップが取り付けられていて発光します。
こちらも基盤故障が原因ですがランプアッセンブリーでの交換が対応手段となります。
このようにLEDの普及が増えてきたことで不具合自体も比例して増えてきました。
しかし不灯火になった際、従来の電球タイプのように電球のみ交換すれば復旧できるわけではないことが非常に問題となります。
例えば上記3例の改善方法は正規で行うのであればすべてランプアッセンブリーでの交換になるということです。
不灯火原因の多くはダイオード(LED)自体が壊れるというよりも電源供給の基盤に不具合が起きることがほとんどですのでLEDが長寿命というセリフに間違いはないのですが、ランプの不灯火という意味では長寿命とは言い切れません。
ランプ全体での交換では当然部品代は高額になります。
電球1個では数百円や数千円で済んだものがランプアッセンブリーでは何万円や何十万円となることが多いことは頭を悩ませます。
今回紹介したもの以外でもヘッドライトにLEDを採用したものもどんどん増えてきています
国産車の一部ではダイオード基盤が電球のように供給されるものも出てきましたがそれですら電球の価格と同等レベルというわけにはいきません。
脱電球化を進めることで環境問題などに対応したり、デザインの自由化(発光色・発光方法も含めて)など様々な絡みがあることは理解できるのですが、現実壊れた場合はランプ全体での交換がほとんどなので環境的な観点からにしてもユーザーの負担としてでも非常に大きな負担にものになるため、そこまで良いことなのか疑問に感じることが非常に多いです。
せめて壊れにくく信頼性を上げるか、壊れても基盤など部分的に交換が出来ればよいのにと思わざるを得ません。