ルノー カングーⅠ
キーシリンダーが回らなくなりエンジンを掛けることもできずオフにすることもできなくなったとのこと。
キーシリンダーが回せなくなるトラブルは距離が延びると多く起き、キーがすり減ったりすることが原因のことが多いです。
今回の状態を確認します。
キーシリンダーにキーを差し込み右回りにスイッチが入ります。
OFF→ACC(アクセサリー)→イグニッション→スタータースイッチ
このように4段階回るようになっています。
しかし今回はACCとイグニッションの間だけ動きOFFにも戻りませんしスタータースイッチまでも回らずエンジンもかけることが出来ません。
お客様もこの状態に困り果てレスキューで搬送されるに至りました。
入庫後もキーが回りませんがしつこくガチャガチャやっているとスッとキーが回り抜くことが出来ました。
抜けたキーのブレードの摩耗状態を点検しましたが思っているほど摩耗していない気がします。
実際、カギ屋さんもブレードの摩耗は少ないし、それにブレードが摩耗していればそもそも1段目から回らないのではないかとの判断でした。
キーシリンダー内部にはブレードの山に合わせたプレートがあるので摩耗で山が低くなるとプレートが引っ込まずキーは回りません。
内部の洗浄や給油を行っても不具合は解消できなかったためシリンダー内部に何か不具合が起きているのは間違いないのですが、分解して元に戻せなくなる可能性も高いので中古のシリンダーを探すことにします。
何とか中古のシリンダーとキーのセットが見つかり状態も良さそうなのでこちらに交換することにしました。
ステアリングコラムにキーシリンダーを移植しましたがこれだけではキーは回ってもエンジンは掛かりません。
この時代の車両でもキーにはイモビライザー(盗難防止装置)のチップが組み込まれているため、違う車両のキーのままではエンジンを掛けることが出来ません。
そこで元々のキーと中古で入手したキーの付け根の部分を入れ替えます。
ワイヤレスドアロックの基盤にイモビライザーのチップも装着されています。
基盤を入れ替えることで中古のキーのブレードと今までのワイヤレスドアロックが使えるようになりました。
それでも元々のキーのブレードも給油口と運転席のキーシリンダーはそのままなのでまだ使用するため取っておかなければいけません。
キーをエンジン始動用と給油・運転席用の2個持つ必要がありますが部品入手の難しくなった車両では致し方ありません。
今回は似た年式の中古の部品が見つかったため当社でも対処できましたが、イモビライザー自体の故障などでコピーや移植になると専門のカギ屋さんにお任せするしかありません。