ホンダ N-ONE のご入庫
強く加速するとエンジンチェックランプが点灯してギクシャクして進まないとのこと。
このような症状はエンジンで起きていることとトランスミッション(CVT)のどちらかで起きていることが考えられます。
ミッション側ですと低負荷時は動力を伝達できるのですが、高負荷の出力が大きくなるとミッション内部で瞬間的に滑りこのような症状が出ることがあります。
今回はエンジンチェックランプが点灯していますで故障コードを読み出してみます。
すると1番シリンダーのミスファイヤーの故障コードを検出しましたので、エンジン側の故障が原因で起きていると判断出来ました。
では、ミスファイヤーの原因を探っていきます。
この車両ではミスファイヤーをカウントしていますのでデーターモニターします。
加速と同時に1番シリンダーのミスファイヤーカウンター数が増えて、ミスファイヤーによる出力の不安定がエンジンのギクシャク感として現れ車速もギクシャクしています。
次にミスファイヤーの原因を探ります。
ガソリンエンジンが回るために必要な3要素 燃料・圧縮・火花 のうち簡単に点検できる火花を見ます。
火花とは点火系統ですが、イグニッションコイルとスパークプラグで構成されています。
イグニッションコイルもダメになることがありますのでシリンダーを入れ替えて再度走行しますが、ミスファイヤーを起こしているシリンダーに変化がなかったためイグニッションコイルはシロと判断します。
次にスパークプラグです。
一番左のスパークプラグの電極が異常に摩耗しているのがわかります。
長寿命プラグなのですが接地電極のチップが無くなってしまい接地電極本体まで摩耗して極端に細くなっています。
電極が摩耗しているためギャップが広がり、高負荷時(加速中ターボチャージャーによる加給圧上昇時)うまく火花が飛ばないことが考えられます。
ここまでひどいプラグなので新しいスパークプラグに交換します。
交換後は先ほどまでの不具合は解消されましたので原因はスパークプラグで間違いありませんでした。
スパークプラグも進化していて従来のニッケルタイプでは乗用車で2万㎞毎の交換が必要でしたが、長寿命タイプの白金やイリジウムを電極につけたタイプは10万㎞毎と飛躍的に交換サイクルが伸びました。
しかし、この交換サイクルはあくまでも乗用車でのことであり軽自動車にはあてはまりません。
軽自動車では乗用車の半分の交換サイクルが推奨されていて、長寿命タイプを使用しても5万㎞毎の交換が必要になります。
今回の不具合車両ではお客様はいつスパークプラグを交換したのかわからないとのことでしたが電極の摩耗具合から5万㎞はゆうに超えていたと思われます。
スパークプラグメーカーでも軽自動車に使用する際の注意喚起はかなり行っています。
軽自動車の保有率と自動車の入れ替えサイクルが伸びてきているのでこのような故障事例は非常に多くなってきています。
軽自動車だけでなく3気筒エンジンを搭載することが多くなってきたコンパクトカーも同様と考えられますので注意が必要です。