ブレーキを踏むとゴーゴーすごい大きな音がするのと、メーターにオイル警告ランプが点灯したとの事でご連絡が入りました。
状況をお電話で聞き出しますが2つの症状の因果関係が想像できませんが、とにかくお車を拝見しないとわかりませんのでレスキューに向かいます。
この車両は当店で今まで管理していない車両で初めて拝見するのですがなんとまだ新車から2年半ほどの車両です。
問診と状況を再度確認します。
まずはブレーキを踏むとゴーゴーするとの事ですのでブレーキパッドとローターを確認するとパッドが無くなりパッドの裏金とローターが金属同士で接触してしまっていました。
パッド自体が摩耗して無くなりパッドを支える裏金とディスクローターが金属同士で接触しています。
これではブレーキを踏めば誰でも気が付くほどの大きな音が出るわけです。
パットとディスクローターを交換してこちらは解消です。
次にオイル警告灯が点灯したとの事ですので、メーターをお客様とみてオイルプレッシャーランプが一瞬点灯したということを確認することが出来ました。
しかし新車から2年半ほどでエンジン内部に何か故障が起きることはあまり考えられませんのでエンジンオイル量を確認すると・・・
レベルゲージやフィラーキャップにはヘドロ状のオイルが付着していました。
これはエンジンオイル交換を怠ったことでエンジンオイルのスラッジなどでヘドロ状に変化したものです。
レベルゲージをふき取り量を確認するとレベルゲージにオイルが付かないほどエンジンオイルが不足している状態でした。
エンジンオイルをドレンから抜き出すと弱弱しく出てきたオイルは、わずか0.8リッター!
このエンジンの規定量は4.2リッターほどですのでほとんど入っていない状態で走り続けたことになります!
お客様にエンジンオイル交換をいつ行ったのか確認してみてもわからず、もしかしたら新車で購入してから一度も行っていないかもしれないとのご返答でした。
いくら新車から年数が経っていないとはいえ4.6万㎞以上走行距離が伸びていますのでさすがに交換しなさすぎです。
これではエンジンオイルをオイルパンから吸い上げることが出来ずにオイルプレッシャランプ(油圧警告灯)が点灯するのは無理はありませんし、もう少し遅ければエンジンは焼き付いてしまうところでした。
ここまで内部が汚れていたりオイルを一瞬とはいえ循環させない状態にしてしまった以上せめて内部の洗浄を行う必要があります。
フラッシング用のオイルと即効性のフラッシング剤にヘドロ状の汚れをすすぎだして次に今度は遅効性のフラッシング剤を添加します
ここから先3000㎞走行して頂き、走行しながらゆっくり残った汚れを溶かします。
使用するオイルも少しグレードの高いオイルにしていただきました、内部にダメージを与えている可能性がありますので少しでも保護することを目的とします。
このようにここまで痛めてしまうと一般的なオイル交換だけでは済ますことが出来なくなってしまいます。
ブレーキパッドにしろエンジンオイルにしても点検を受けていれば未然に防ぐことが出来ますし痛めることもありませんでした。
現在の制度ですと乗用車の初回車検は3年後になってしまうため、強制力のない法定12か月点検などを受けていないとこのようなことが起きてしまいます。
昔のように新車を購入したら、ならし運転をしてエンジンオイル交換をするなどという話もめっきり聞くことが無くなりました。
かつては高額で大切な愛車だからこそ長く良い状態を保ちたいという気持ちの表れでもあったわけです。
自動車を所有するということはその車に対する管理責任も伴わなければいけないことなのですが、メンテナンスパックやリースなど実際ユーザー自身が管理しなくなってきたり、自動車自体がメンテナンスフリー化が進みメンテナンスをしなくてよい部分が増えたことでユーザーの認識が薄れてきたことがこのような事態を引き起こすと思われます。
自動車自体は様々な技術が投入されて進んできているのに、人間が管理できなくなってきていることは皮肉なものです。