車検整備でご入庫したニッサン ルークス
年数は経っていますが走行距離は1万㎞台ですので大きな故障はないかと思われます。
しかし、後輪の内側に何か漏れた跡が見受けられます。この車両は4輪駆動なので駆動力を伝えるデフなどが搭載されています。
はじめはブレーキフルードでも漏れてしまっているのかと思いましたがドラムを外してみると、リヤのハブからデフオイルが漏れていることがわかりました。
この部分は車軸ですので比較的走行距離に比例して不具合が起きるものなので少し疑問がありましたがハブのオイルシールに漏れがあると判断して分解していきます。
アクスルシャフトを外します。
ハウジングに残るオイルシールを見てみると・・・?
何か違和感を感じます。
オイルシールが表裏逆に組付けられています!
これでは内部のオイルは漏れ出してしまいます。本来はこのように組付けれれていなければなりません。
これは明らかに組み間違いなのですが、どこで組み間違えが起きたのでしょう?
メーカーの新車製造ラインでこのようなことが起きることはまず考えられませんし、あったとしたらかなりの台数でリコールなどの改修が掛かるはずです。
リコール?
走行距離が少ないこの車両でここに不具合がかつて起きた可能性は少ないですが、リコールに当てはまって作業する可能性は考えられます。
この車両でリコールに該当していたか調べてみると、やはりありました!
リコールではなくサービスキャンペーンでしたが当該部品の不良の改修作業に関するものです。
記録簿を探すとやはりオイルシールの交換履歴もありましたし、その整備を行ってからわずか数百kmしか走行していませんのでこの時点での整備ミスは間違いありません。
不良部品の改善を行うべきリコールやサービスキャンペーンなのですが、改善が改悪になってしまったということになります。
このサービスキャンペーンはディーラーで行われていたのですが、この作業を行った整備士がほかの車両でも同様のミスを行っていないか心配になります。
オイルシールはハウジングに打ち込むのですが車種は違ってもほとんど同じ構造ですので、打ち込む際に表裏が違えばその時点で気が付くものです。
しかしこの車両は左右ともに組み間違えていましたので、明らかに経験値が少ない者が行った可能性があります。
ともあれ過去のことに関してあれこれ言っても仕方がありませんが、見えなくなってしまうような部分の整備は特に気を付けるのはもとより、オイルシールなど各部に使われる部品に関しての基礎的な学習が出来ていない者が整備を行っているということに非常に不安を感じました。