どのような車両でも搭載されているバッテリー。
バッテリー上りなどのバッテリー本体の不具合が良く取り上げられることが多いのですが、単純にバッテリーを交換すればよい訳ではなく周辺の状態なども含めて点検・交換を行わなくてはいけません。
こちらバッテリー上がりで入庫した車両ですが、バッテリー端子一見しっかり取り付けられているように見えます。
しかし揺するとこのように動いてしまいます。
締め付けナットはこれ以上締まらずしっかり締まっているのですが端子は動いてしまっています。
外側の錆もひどいのですが端子の内側も錆による腐食でやせています。
これは緑青や硫酸鉛錆と呼ばれる錆による腐食で端子自体がやせてしまったため、締め付けてもバッテリーターミナルと密着できなくなったことが原因です。
このように密着が悪いと接触不良と呼ばれる状態が起きて電気の流れが悪くなり充電放電がうまくいかず電気トラブルのもとになります。
こうなってしまった場合は端子自体を交換する必要があります。
端子とバッテリーターミナルが面でしっかり密着することで接触抵抗を極限まで減らし電気トラブルが回避できます。
もちろんバッテリーの性能が正常を保てていることが大前提です。
次にこちらのお車、ディーゼルエンジン搭載車両でバッテリーが2基並列に装着されています。
エンジンが掛からないことでレスキューされたのですが、その際に暗電流と呼ばれるエンジンが作動していない時の電気が異常に流れているといわれたそうです。
この車両もバッテリーターミナルに硫酸鉛錆の粉が発生しています。
レスキューの際の過剰な暗電流があるとされた件は、車両側に漏電があるのではなく片側のバッテリーが突然死のように急激に電圧が落ちて、もう一方のバッテリーから電気が流れ込んだことが原因でした。
バッテリー間での電位差による電流発生だったのです。
片側は8ボルト台
もう一方は5ボルト台で3ボルトも電位差があれば当然電流が発生してしまう訳です。
どちらのバッテリーもエンジンを掛けられないレベルまで電圧は低下してしまっています。
バッテリー2基を同時に交換しましたが、それはバッテリー間で電位差を作らない必要があるからです。
それとせっかく新しいバッテリーを装着しても端子で接触不良を起こしていたのでは台無しになってしまうため、端子も作り変えました。
そもそも緑青や硫酸鉛錆が発生する状態のバッテリーは充放電の反応が悪くなって過剰なガスの発生などが起きているため交換が必要な状態になっています。
バッテリーは消耗品ですので一定の年数で劣化して交換する必要がありますが、交換の際に周辺の状態も含めて点検をしないとせっかく替えたバッテリーの性能を発揮できないばかりか新たなる不具合の発生原因となってしまいますので注意が必要です。