いすゞ ベレット1600GT
ブレーキフルードが漏れ出しましたのでメンテナンスを行います。
マスターシリンダーのブレーキフルード量が少ないので点検すると、右後輪のブレーキホイールシリンダーからフルードが漏れてしまっていました。
ホイールシリンダーを取り出してオーバーホールを行います。
幸いシリンダーに大きな傷はありませんのでサビを落として新しいカップキットで組付けます。
他に漏れ箇所がないか点検したところブレーキマスターシリンダーからも漏れだしていました。
ブレーキペダル足元がブレーキフルードで濡れています。
マスターシリンダーは新品で交換対応します。
マスターシリンダーのそばにブレーキスイッチがありますが,ここからもブレーキフルードがにじんできているため交換します。
現代では使用されていませんが当時はブレーキの油圧でスイッチングしてブレーキランプを点灯させていたので、スイッチ内部のシールがダメになるとこのようにフルードが漏れてきてしまします。
このように3か所漏れがあることからブレーキ油圧システム全体が危険な状態と判断できるので、この際油圧系統すべてにメンテナンスを加えることにしました。
油圧を伝えるブレーキホースの交換
前輪のブレーキキャリパーもオーバーホールします。
やはり内部にはサビがありましたが、致命的ではないためサビを落として清掃を行い新しいシールキットで組みなおすことにします。
幸いこの車両のブレーキ部品の供給は滞っておらず、すべての油圧部品のメンテナンスをすることが出来ましたので、今後数年間は油圧系統の問題は起きないでしょう。
昭和43年式のこの車両、マスターシリンダーを見てやたらと小さいと思われたかと思います。
この当時は、油圧回路が1系統しかありませんでした今回のようなフルード漏れが起きてエアが油圧回路にかみこんだ場合4輪ともブレーキが全く効かなくなってしまい大変危険なため、のちに2系統それぞれ独立した油圧回路を持つタンデムタイプの油圧回路の装着が義務付けられました。
2系統にすることで1系統がダメになっても残りの1系統(2輪)には油圧が残るようにしました。
このような法規制前の車両の故障は命取りですので、タンデムに油圧回路を変更したり、定期的な点検や交換をこまめに行うことをお勧めします。
部品入手困難な車両は壊れてから部品を探すのも大変ですので、あらかじめ部品の確保や加工などの下準備をすることはもとより、出来れば交換履歴がわからない場合は今回のようにフルで整備を行ってしまうほうが良いです。
また、たとえ部品交換できたとしても吸湿性のあるブレーキフルードはサビを呼びますので1年ごとにフルード交換を行い少しでも錆びずらい環境つくりなども必要になります。