ニッサン スカイライン2000GT(GC10)のご入庫
ハコスカの愛称でなじみのこちらのお車、車検整備のご依頼です。
下回りでは後輪ドライブシャフトのブーツが破けていますので交換します。
このドライブシャフトは現代のCVジョイントとは違いユニバーサルジョイント(スパイダーユニット)を使用してるため、シャフトの伸縮がジョイントで出来ないため中心部をスライドして伸縮できるような仕組みになってます。
その伸縮部の保護のためのブーツが破けました。
ブーツを外すと内部のグリスが劣化により固形化してしまってます。
もしかしたら新車時から半世紀分解されていないかもしれません。
スライド部をきれいに洗浄して新しいグリスを充填して組みなおします。
ユニバーサルジョイントはニップルがありますので新しいグリスに打ち直してガタや渋りがないことを確認します。
前輪はスタビラザーリンクのブッシュが劣化して崩れていますので交換します。
まだ部品供給がされてるので少しずつですがリフレッシュをしていきます。
次にバッテリーが上がるとのことでバッテリー交換を承りました。
新しいバッテリーに交換しましたがメーター内のチャージランプがうっすらと点灯しています。
うまく充電出来ていない可能性があるためバッテリー端子で電圧測定すると、ほぼバッテリー単体電圧しかありませんので充電電圧は掛かっていませんでした。
発電機であるオルタネーターがうまく発電で来ていない可能性がありますのでオルタネーターのバッテリー端子で電圧測定をすると13~14ボルト台でしたのでオルタネーター自体は発電出来ているようです。
どうもオルタネーターからバッテリーの間で何かが起きているようです。
原因を探ります。
オルタネーターのB端子とバッテリーの+端子間の電圧を測定すると1ボルト以上の電圧降下が有るのがわかりました。
配線をたどるとヒュージブルリンクの集中ケースがありました。
ヒュージブルリンクとは大容量のヒューズでこの車両ではバッテリー端子から4系統に分けて電気を分配しています。
その中の一つはオルタネーターにつながっています。
端子はかなりサビが発生しているので抵抗になって電気は流れなくなる可能性があります。
また、端の端子は熱で溶けてしまっています。
接触不良が起きるとそこの抵抗は電気の流れを悪くするため発熱します、発熱して酸化するとさらに抵抗が高まり最終的には電気が流れなくなってしまいます。
この溶けてしまった端子は使用できませんのでバイパスします。残りの端子もきれいに洗浄して新しいヒュージブルリンクに交換しました。
交換後はチャージランプも消灯しましたしバッテリー端子にオルタネーターからの充電電圧がしっかりかかることを確認できました。
ほかの端子もしっかり電気が流れることで車体全体の電装品が正常な動作ができるようになったと思います。
この時代の車両は端子が防水になっていないため外気に触れこのようなトラブルが起きることが多いです。
現代車に比べ電気配線は非常に少ないので、出来る限りの範囲で良いので端子を清掃したり外気と接触を避けるための給油をDIYで行うことをお勧めします。
昭和47年式で半世紀前のお車ですが手入れ次第でまだまだ乗ることができます。