栃木県宇都宮市の整備工場
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ブログ内の整備・修理等各記事の作業内容や作業方法のご質問にはお答えできません。 また、作業料金についても車両を当社まで入庫いただき、実際に見させていただいてからのお見積りとなります。 概算の金額についても電話やメールではお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

故障修理・整備 フィアット

FIAT500 オーバーヒートによる最悪な結末

FIAT500のご入庫

走行中エンジンが止まりそれから掛からなくなったとの事で搬送されてきました。

状況を伺うとどうやらオーバーヒートの症状もあった模様。

クランキングしてみますがまったく圧縮がない状態ですのでもしかしたらタイミングベルトが切れているのかと確認してみようとタイミングベルトカバーのボルトを緩めて外そうとしますがカバーが張り付いていて外れません。

何かカバーが接着されているようですので、誰かが密閉を良くしようなんて思って何か塗っているのかもしれません。

ようやく外してベルトを点検しますがどうやら切れていませんしタイミングもずれていません。

 

次にオーバーヒートの症状があったとの事でしたのでお決まりのサーモスタットを見るとやはり樹脂のパイプ部分がぽっきり折れています。

オーバーヒートを起こしたのはわかりました、エンジンが掛からないのは圧縮が無いからですのでオーバーヒートによるガスケット抜けが起きたのでしょう。

しかし何か変です。

ガスケットが抜けたにしては、あまりにも圧縮が無い回り方をしています。

これはもしかしてガスケット抜けどころではない大きな故障を起こしているのかもしれません。

頭を切り替え、もう一度よく調べると先ほどのタイミングベルトカバーは接着されていたのではなく高温のため樹脂製のカバーが溶けて張り付いていたのです。

さらによく見ると樹脂製のインテークマニホールドとエンジンヘッドの合わせ面も樹脂が溶けています!

これはオーバーヒートを起こしさらに高温にさらされた結果、金属が樹脂部品を溶かすほどの高温状態になったことを物語っています。

一般的なオーバーヒートではここまでのことは起きません。

エンジンに致命的なダメージを与えていると判断できますのでエンジン自体の交換が必要であることをお客様に伝え中古エンジンに乗せ換えることになりました。

 

トラブルを起こしたエンジンを分解していきます。

サーモスタットはご覧の通り

 

ブロック側はさらに悲惨な状況になっていました。

ピストントップは棚落ちしていますし4番ピストンは割れてピストンピンがずれています。

これではまったく圧縮が無くなるのは当然のことです。

シリンダーにはピストンの溶けたアルミがこびり付いています。

エンジン内部はオイルの焦げたにおいが充満していてかなり酷い焼き付きを起こしていました。

 

ここまでに至る経緯はこのような感じでしょう。

①走行中サーモスタットの樹脂パイプが割れて冷却水が大量に漏れてオーバーヒート
      ↓
②オーバーヒートに気が付かず走行を継続
      ↓
③冷却水が無い空焚きの状態で走行を続けた結果油温が急上昇
      ↓
④油温上昇によりオイル性能限界を超え油膜切れによりピストン破損
      ↓
⑤ピストン破損により圧縮が無くなりエンジンストール

ここまでに至ることは非常にまれなことです。

 

ここで疑問”なぜオーバーヒートに気が付かなかったのか?”ということです。

こちらの車両もちろん水温計はありますので水温が上昇すればメーターも上がりますしあまりに水温が高温になれば警告灯も点灯します。

しかし車両はなかなか教えてくれませんでした。

その原因はこちら

これはサーモスタットに装着されている水温センサーです。

水温センサーは冷却水に浸かり水温をセンシングしているのですが今回の様にパイプが割れて冷却水が一気に噴き出すとセンサーは冷却水に浸らない状態になりますので実際には水温をモニターすることが出来なくなります。

走行中ですと高温になった蒸気も走行風で流されてしまいますので水温センサーは事実上役に立ちません。

今回は夜間に幹線道路を走行していたので走行スピードもそこそこあるため運転者も冷却水がもれた蒸気にも気が付かなかったようです。

エンジンがストールしたことで警告灯及び警告音が発報して初めて気が付いたのです。

 

そもそものオーバーヒートの原因はサーモスタットの樹脂パイプの割れです。

ここが割れたことで一瞬で冷却水が噴き出ました。

以前からこのサーモスタットのトラブルは多かったのですが経年劣化も進み年々トラブルが増えています。
故障事例 リンク

当店ではトラブルを未然に防ぐ意味で対策済サーモスタットに交換を勧めています。

車両火災寸前のオーバーヒートによる最悪な結末でした。

 

 

 

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