VW シャランのご入庫
アイドリングが不安定でエンストするときもある、エンジンチェックランプも点灯するとの事
診断機を使い故障コードを読み出します。
燃料ポンプの故障を検出しています。
こちらの車両は直噴エンジンを搭載したモデルですので、燃料タンクからくみ上げエンジンルームに送る1次燃料ポンプと直噴させるためにさらに高圧に圧縮する2次ポンプがエンジンに搭載されています。
今回の故障コードは1次側の圧力が低いことを言っているようです。
エンジンを掛けながら燃料タンクのポンプモーター作動音を聞いてみると何か不安定で一定のモーター音が出ていないのが気になりました。
これは燃料タンク内の1次ポンプの故障で間違い無いような気がします。
しかしパーツリストを見ていると何やら気になるものがあります。
control unit for fuel pump(フューエルポンプコントロールユニット)?
従来の燃料ポンプはエンジンが掛かっているときは常に回り続けるためせいぜいリレーが付いている程度だったのですが、これは部品名称からしてポンプをコントロールしているようです。
調べていくとポンプに掛かる電気を制御しているようです。
単純にポンプが安定して回っていないからと言ってポンプが原因だとするのは早計かもしれません。
そこでポンプに掛かる電圧を測るとやはり不安定な回転に合わせて電圧も変動しています。
もしかしたらコントロールユニットから制御している電気が安定していないのでポンプモーターが不安定に回転しているのかもしれません。
とはいえ、ポンプモーターに何かしら故障があることで電気が安定しない可能性も在ることから、修理単価の安いコントロールユニットを交換してみて、もしかしたらモーターも交換しなければならないかもしれないということで作業を開始しました。
交換したポンプコントロールモジュールはこのような部品です。
造りからしてパワートランジスタのようなものが入っているようですが密封されていてわかりません。
交換した結果、故障コードも拾わなくなりましたし頻繁に起きていたエンスト症状も解消しました。
昨今の車両は制御が複雑になり従来の概念だけで仕組みを考えていると落とし穴があります。
従来のリレーやスイッチなどで制御していたものとは異なりかなり細かな電気のコントロールをしているため何かを交換してみないとその先に進むべく判断が付かないことも多いものです。
故障原因と断定する裏付けを取ることは必要ですがどうしても交換してみなければわからない時もあります。