ニッサン シーマ(F50)のご入庫
エンジン冷間始動時に何か音がしてしばらくすると消えるそうです。
冷間時のみ出る異音というもので良くあるのが、パワーステアリングフルードのエアー噛みこみによる異音です。
お客様にどんな音か問診してもなんとなく当てはまりそうです。
パワーステアリングフルード量を点検してみようとすると???
なぜかパワステフルードのタンクが二つあります。
なぜか二つあるのですがとりあえずフルード量を確認するとエンジン中央にあるタンクの量が下限値を下回っていました。
どうやら何かの原因でフルード量不足を起こし、冷間時に収縮したフルードはさらに油面レベルが下がったことでエアが噛みこんで音が出たのは間違いなさそうです。
問題はなぜ二つタンクがあるかということです。どちらのキャップにもパワーステアリングフルードを入れるように書いてあります?
整備書で構造をチェックしてようやく納得がいきました。
この車両はエンジン冷却ファンを油圧で回すタイプだったのです。
一般的にエンジン冷却ファンは電動モーターやエンジンが直接回していることがほとんどなのですがVK45のV8エンジン搭載車両では静粛性や耐久性・風量などを考慮してこのシステムを採用したようですね。
油圧駆動ポンプ自体はウォーターポンプと一体になっているので、ウォーターポンプにしろ油圧ポンプにしろどちらかが故障すればアッセンブリーでの交換です。
今回、フルードがポンプから少し漏れ出しているような状況でしたし、10万km超えて年数も経ちウォーターポンプもそろそろ怪しくなってきますので交換となりました。
ポンプで作られた油圧をパイプを経由してファンに伝えます。
部品としては冷却ファン駆動油圧ポンプと冷却水のウォーターポンプが一体になっているので部品代は高額になりますが、車格や耐用年数を考慮すると適正なものといえると思います。