FIAT パンダ(169) 車検整備でのご入庫
平成22年式でもう9年経っていますので経年劣化も含めてよく点検をしていきます。
まずは最も重要なブレーキから、前輪はディスクブレーキです。
パッドの残量や偏摩耗、ディスクローターの摩耗、キャリパー・ホースの漏れもありませんし引きずりも見られず正常です。
後輪はドラムブレーキ
ドラムブレーキは普段ドラムがかぶって見えないため法定点検のようなタイミングでしっかり診ておかないとトラブルに気が付かず大変なことになります。
一見何も異常がなさそうな感じですが・・・
ホイールシリンダーのダストブーツをめくると
液体が漏れ出してきました。
これはブレーキフルード(ブレーキオイル)で本来はこの部分に出てきてはいけませんので、これはすでに漏れているという状態です。
ホイールシリンダーの内部はこのようになっていて向かい合ったピストンの間にブレーキフルードの油圧が掛かりピストンが左右に動くことでブレーキシューを押し広げてドラムを止めてブレーキが効く構造になっています。
ピストン
ダストブーツはあくまでも異物をホイールシリンダーに入れないためのものであり、ブーツをめくった部分にフルードなり異物などはあってはいけません。
国産車ではカップキットと呼ばれるリペアセットでゴムだけの交換が可能ですが海外の車両はカップキットの設定がありませんので、ホイールシリンダーアッセンブリーでの交換になります。
分解しなければ見えないところですので点検の際は見落とさないことはもとより、年数・走行距離数が伸びた場合は漏れていなくても予防的に交換をすることをお勧めします。
次にフロント足回りでロアアームにボールジョイントがあるのですがボールジョイントのダストブーツが劣化により切れてしまっているので交換です。
純正でこのブーツの単体供給はありませんので国産の汎用ブーツでで交換します。
ボールジョイントはグリスで潤滑されているのですがダストブーツが破けて水やゴミが浸入すると破損してしまいますのでブーツの破れを見つけた際は早急に対処が必要です。
交換の際にはボールジョイントにガタや渋りが発生していないか確認することも重要です。
車検整備ではこのように安全にかかわるところを重点的に点検・整備を行いますが、乗用車の車検サイクルは2年です、2年間無点検では今回のように見えない部分の故障は気が付きません。
そのため法定12か月点検という1年毎の点検も義務づけられています、この点検は車検整備である24ヶ月点検に準ずるものですのでかなりの確率で安全確保できるものです。
安全に走行するためにも定期的な点検整備をしっかり行うようにしてください。