FIAT パンダ(169)のご入庫
ご用命は、”パワステが効かなくなってハンドルが重くなった” ”エンジンを掛け直したら治った”とのこと
入庫時、パワーステアリングの作動は正常でしたが診断機を当てて過去の故障履歴を検出してみます。
C1006 トルクセンサー異常を検出しました。
この車両のパワーステアリングは電動モーターで操作力をアシストするようになっています。
ただモーターを回してステアリングリングを軽くする訳にはいきませんので、ハンドルの舵角を読むアングルセンサーとどれくらいの力でステアリングを回転させようとしているか検出するためのトルクセンサーが内部には装着されています。
このセンサーからの信号をコンピュータで演算してモーターに送る電流を制御してステアリングをアシストする構造になっています。
トルクセンサーの故障履歴を検出していますので、信号が入力されていないため制御を止めたと考えられます。
修理としてはこのセンサーの交換になりますが、国内ではユニットアッセンブリーでの供給しかなく部品代だけで20万円以上とかなりの高額になってしまいます。
そこで海外からトルクセンサー単体を取り寄せ修理を行うことになりました。
ユニット内部にこのようなセンサーがありステアリングシャフトのねじれを読み取ります。
最後にキャリブレーション(校正)を、診断機を使用して行い修理は完了です。
ちなみに、非分解の不具合品を分解してみるとこのようになっていました。
構造としては可変抵抗で摺動子の位置の変化で抵抗を変化させることで変化した電圧を信号として利用します。
摺動子の接触不良が故障原因です。
長期にわたって使用したことでの摩耗が原因ですのでいつかは起きる不具合です。
摺動子の摩耗不具合を改善するために光学式の非接触型もありますがこちらもディスクの劣化による読み取り不良が起きます。
不具合事例リンク
電動パワーステアリングユニットと一言で言っても、センサー・モーター・コンピュータなどセクションに分かれています。
日本国内ではユニットASSYになって高額になってしまうような修理でも実際ヨーロッパなどでは細かいセクションごとの修理は普通に行われています。
取り寄せる時間は多少かかったとしても金額と時間を、はかりにかけても十分な結果を得られると思います。
このような修理方法もあるということをご参考までに。