トヨタ ヴィッツ(KSP130)のご入庫
エンジンオイル交換のご依頼でしたが、プチ点検でバッテリーが寿命であることが判明しました。
バッテリーが寿命に達していることをご説明しているとお客様から気になる言葉が発せられました。
”バッテリーがダメだったからエンジンが止まったり掛かりが悪かったんですね”
! エンジンが止まった? 掛かりずらい?
このキーワードは、現代の車では故障です。バッテリーはかなり弱くなっていたとはいえ走行中にエンストを起こすほどではありません。
そこで、止まった状況や掛かりの悪かった時のお話を問診していきます。
やはり、バッテリーが原因ではなさそうなのでバッテリーの交換をする前に、診断機を使い故障コードを読み出してみます。
やはり、止まったときや掛かりの悪かった時の状況が履歴で残っていました。
しかし、どこかのセンサーの不具合を特定するような故障コードではありません。
現車を確認するとアイドル回転数が低くエアコンを掛けたりヘッドライトを点灯させるとエンジンが止まりそうなくらい不安定になります。
モニターでエンジン回転数と負荷をかけた時のISC値をグラフ化させるとはっきりとわかります。
※ISC:アイドルスピードコントロールバルブ
アイドル回転の不安定さがエンストを引き起こしているようです。
ISCを開ければエンジン回転が上がるように制御されなければいけないのですが、ISCを開けてもエンジン回転が下がってしまっているのが補正できていない証拠です。
これはスロットルバルブの汚れによりアイドル時の回転コントロールが上手くいかないことが原因です。
スロットルバルブを洗浄して学習値をリセットします。
作業後は、アイドリングの変化がこのようになりました。
このようにスムーズな補正によりほとんどエンジン回転(緑の線)が上下しないことがわかります。
安定したエンジン回転のコントロールでエンストを防いだり、掛かり具合をコントロールしています、またスロットルバルブが汚れてくれば吸入空気の流れが悪くなりますので自己補正を行うのです。
お客様、今までディーラーで整備をお任せだったのですがこのようなことは説明を受けたこともないし、点検の時見てくれていなかったのか不信がっておりました。
昨今の整備業界はコスト削減で一台当たりの整備に時間を割くことが出来なくなっているためお客様からご指摘が無ければその部分は点検しなくなっていることが多いのです。
昔のキャブレータの時代では当たり前のようにメンテナンスで洗浄や調整など行っていたのですが現代のお車ではコンピューターが補正をして何事もなかったかのように走ってしまう為、洗浄を行うことが減ってしまいました。
そのため、補正範囲を超えてエンストなどの症状が現れるまで対処をしないことが多いのです。
今回はエンジンオイル交換で点検を行ったことで、バッテリー・エンストなど不安箇所が浮き彫りになりました。
定期的な点検やそこで見定める整備士の目が重要なことがお分かりになるかと思います。