VW トゥーラン エンジン不調①の続き タイミングチェーンの交換内容です。

このエンジンはバルブタイミングを調整するのに専用の工具(SST)が必要です。

1番シリンダーピストンを圧縮上死点に調整後、SSTをエンジンヘッド後部のサービスホールにセットすることでカムシャフトを正規の位置固定してバルブタイミングを調整するようになっています。

まずは1番シリンダーを圧縮上死点にセットしてカムシャフトがSSTをセットできる位置に来るか確認します。

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しかし、カムシャフトの位置がずれすぎてSSTをセットすることが出来ません!

ということはタイミングチェーンが伸びてカムシャフトが遅れた位置にいることを表しています。

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タイミングチェーンを交換するためにエンジンの前側を分解していきます。

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すると、チェーンの張りを調整するチェーンテンショナーが伸びきっています!!それだけチェーンが伸びているということです。

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チェーンを取り外して新品と比べてみます。

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これだけ長さが違います!

バルブタイミングは非常に精密に調整されるものなのですがここまで長さが違えばカムシャフトの位置がずれてSSTが嵌りません、エンジンの調子が悪くなるのは当然です。

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新品のチェーンを組みつけてみるとテンショナーはこれしか出ません。いかに伸びていたかお分かりでしょう。

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新しいチェーンを組み込み初めに紹介したSSTでカムを正規の位置に固定してバルブタイミングを調整・組みなおして症状は改善しました。

これ以上伸びが進行するとピストンとバルブが接触して破損させてしまうところでした。

 

では、なぜこのような不具合が発生したのでしょう?

不具合の原因はずばり!オイルメンテナンス不良です!

以前はタイミングをとる部品はタイミングベルトが多く採用されていたのですが、ベルトは消耗品のため定期交換が必要で交換を怠るとベルトが切れて最悪エンジン破損などという弱点がありました。

それに対して、タイミングチェーンはベルトでの弱点である”切れる”ということはまずないことからエンジン内部に組み込まれエンジンオイルで潤滑される仕組みになり定期交換する必要がなくなりました。

しかし、エンジンオイルで潤滑されるチェーンはオイルが劣化した状態(汚れたオイル)ではチェーン自体の摩耗、カムシャフトのフリクション増加によるテンション増加により伸びが発生するようになりました。

今回のような不具合事例は実は輸入車であるフォルクスワーゲンだからというわけではなく国産車でも同様な事例は多数発生しています。

”最近の車は、交換サイクルを長くしても大丈夫”とアドバイスをするお店も増えたのですが、私の経験上1万キロ以上の長いサイクルで交換しているエンジンでは、内部の汚れはもちろんのことチェーン伸び・オイル漏れ・オイル消費増大・排気ガスに煙が出るなど不具合を発生する可能性が非常に多いです。

ですので、初期のよい状態を汚れをためずに維持していこうとするのであれば長くても5000㎞毎を推奨しているのです。(それでもオイル消費の多いモデル(一部の輸入車)などは継ぎ足しをしないでもう少し短い距離で交換することを推奨します。)

あらゆるところでメンテナンスフリー化はどんどん進んでいるのですが、オイルなどのエンジンの血液に当たるものの交換を怠ると今回のような定期交換を前提にしていない部分が壊れ、大変大きな修理になります。

最近の車は、制御が緻密になっていて汚れや劣化にシビアなのと、コストダウンで耐久性もギリギリのところで造られていますので今まで以上にメンテナンスには気を使わなければなりません。