トヨタ ハリアー(ACU35W)の2.4L(2AZ)エンジンです。
こちらのお写真エンジンのシリンダーヘッドと呼ばれる部分で文字通り上(頭)に当たる部分です。
エンジンは大きく分けると上と下に分かれます。
そしてこちらシリンダーブロックと呼ばれ本体部分に当たります。
丸い穴が4個開いていますが、そこにピストンが入って回転運動をします。
4個なので4気筒エンジンと呼ばれており、シリンダーヘッドとシリンダーブロックが合わさってエンジンとして機能します。
さて、なぜ今回エンジンをこのように分解することになったのかといいますと、原因はオーバーヒートでした。
エンジンは燃料を燃やして回しているので大変高温になります、そこで内部に冷却水を循環させることである一定の温度に保つように設計されています。
しかし、何かの不具合で冷却が出来なくなるとエンジン温度が急上昇してオーバーヒートを起してしまうのです。
では、オーバーヒートを起すとどのようなことがおきてしまうのでしょうか?
エンジンは金属(アルミニウムや鉄)で出来ています。金属はある一定の温度では変形しないのですが、その一定温度を超えた場合、変形し反り返ったりしてしまうのです。
こちらの写真、シリンダーヘッドの面にまっすぐな棒状の測定具を当てた様子です。
真ん中の赤丸に隙間が出来て、光が漏れているのがお分かりでしょうか?
ということは、測定具はまっすぐなのでヘッド自体が曲がってしまったということになります。
ちなみにこのエンジンの場合ここの隙間は0.05mm以下で無ければなりません。
しかし、測定してみると0.12mm大幅に基準値を超えて反り返ってしまっていました。
多少の基準値越えでしたら面を平らに削り直すことで、再使用することが出来るのですが今回のように大幅に反ってしまった場合、交換するしかありません。
今回は、中古のエンジンに載せかえることで対応いたしましたが、当然修理費用は大きくなってしまいました。
ここで、一番重要なことなのですが、故障が起きてしまったとき どのように対処したかということが明暗を大きく分けることになるということです。
今回、オーバーヒートがおきたときお客様は冷却水が漏れたので、水を入れて再度走行をしてしまいました。もちろん漏れたままですのでまたオーバーヒートします。それを何度も繰り返した為エンジンに熱が掛かり壊れてしまいました。
はじめの時にすぐに止めてレスキューを呼んでいれば、ここまで大きな修理にならず、もしかしたら漏れた箇所のみの修理ですむことで、修理費用もこんなに掛からなかったかもしれません。
止める場所を確保できなかったなどやむ終えないこともあるかと思いますが、基本異常発生時は走行はしてはいけません。
単に車両が壊れるだけでなく、安全に支障をきたす故障もありますのですぐ安全な場所に留めてにご連絡下さい。
それから、最近の車はコンピュータで設計されているので無駄を省いたつくりになっています。とても高性能でよいことなのですが、逆に無駄がない分不具合がおきたときの耐久性は昔の車に比べてありません。
日ごろのメンテナンスと、故障時の対応 お忘れなく。