トヨタ セリカ(ST183)のご入庫
”アイドリング低すぎて止まりそうになる”との事
初めにダイアグコードの検出がないか確認します。
この時代のトヨタではT端子をアースと短絡することで故障コードを読み出すモードに切り替えてチェックランプの点滅で読み取ります。
特に故障コードの検出はありませんでしたのでセンサーなどは問題なさそうです。
アイドリングの回転をコントロールしているのはISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)ですのでここの汚れなどが影響しそうです。
スロットルバルブボディを取り外します。
この部分がISCVです。かなり汚れているのがわかります。
スロットルボディのエアバイパス通路も同様に汚れています。わきの空洞部分が通路になります。
ISCVの通路をきれい清掃して単体動作テストを行います。
スロットルバルブとISCVを清掃して組付けるとアイドリング回転が少し高くなり安定しました。
しかし他にも気になる部分が目に入りました。
エアコンのアイドルアップバルブのエアホースが裂けています。
このような部分からもエアを吸い込んだりすればエンジン回転は不安定になりますのでこのホースも新しいものと交換します。
造形ホースで部品はすでに製造廃止ですので汎用のエアホースを折れ曲がらないように取り廻して組付けます。
交換後はアイドル回転学習をリセットするためコンピューターのヒューズを外したのちアイドリングをさせて安定したところで終了です。
オートマチック車のためDレンジに入れたときにエンジン回転の落ち込みが大きかったのですがアイドル回転制御ですぐにアイドルアップが掛かるため入庫時ほどのエンジン回転の落ち込みによる不安定は解消しました。
スロットルバルブやISCVは必ず汚れる部分ですので定期的な清掃が必要なのですが、ある程度車両が補正してしまうため症状が酷くなるまでメンテナンスを行うことがあまりありません。
今回お客様、ディーラーで症状を訴えたそうですがISCVが製造廃止のため清掃したら壊れてしまうかもしれないとの事で作業を断られたそうです。
確かにISCVは電気の流れる部分もあるため無造作に洗浄液を掛けるとショートしてしまいISCVを壊したりその先のコンピューターを破損させてしまうこともあります。
清掃には注意が必要ですが壊れてしまう恐れから何もしないで別の不具合症状を放っておくというのもあまり良いものではありません。
壊れてしまうリスクの説明は必要ですが、壊さないように注意深く作業を行うことが大切になります。