バッテリーを点検していると様々な危険な状態を目にします。
こちらメルセデスベンツBクラスで、運転席の足元にバッテリーがあります。
この状態では一見するとおかしなことは見受けられないと思うのですが・・・
矢印の部分をよく見てください。
この黒配く太い線はバッテリーのプラス端子から伸びている配線でボディパネルと接触しているのがわかります。
接触部分はボディーパネルなのでボディーアースとなりバッテリーのマイナス端子と同じ電圧になります。
プラス配線がマイナスのパネルに接触していることになります!振動で配線被覆が破ければショートして火災を起こしてしまいます。
この配線にはヒューズやブレーカーの様に電気をシャットダウンできるものがありませんので非常に危険な状態でした。
本来はこのようにグロメットで固定されて、ボディパネルと接触しないように組み付けられていなければなりません。
以前バッテリーを交換する際に外れたことに気が付かないままだったのでしょう。
今回は配線被覆に傷がなかったのが幸いでした。
次にアース線の補強で社外のアーシングを取りつけている車両です。
青い配線は後付のアースケーブル(マイナス)です。
これのどこが危険なのでしょうか?
このアーシングの台は非常に長いため万が一緩んだ際にアーシングの台(マイナス)がプラス端子に接触してしまう恐れがあることが危険なのです。
これもショートしてもシャットダウンするものがありませんので、過大な電流が流れて車両火災を起こしかねない危険な状態です。
車両は常に振動していますので、万が一緩んだとしてもショートしないことを想定して組付けなければいけません。
ご案内した2例はヒューズなどのシャットダウンすることが出来ないところで、もしショートしてそこが溶着したような状態が起きれば電気が無くなるまで激しく電流は流れ続け周辺を溶かしながら燃やします。
※電気溶接の理屈と同じことがおきます。
車両火災がニュースになることがありますが、単に燃料が燃え出す以外にも電気火災が原因のこともありますので注意が必要です。
DIY感覚でバッテリー交換を行う方も多いのですが、交換の手順だけでなく周囲の状態などを正確に判断した上で行うことが重要なことです。
それと昨今の電子制御は非常にデリケートなのでバッテリー端子の脱着の際のサージ電圧で制御ユニットなどを破損することもありますので、昔ながらの交換方法も通用しないので別の意味で注意が必要です。