トヨタ ランドクルーザープラド(KZJ78W)のご入庫
”エンジンの掛かりがすごく悪い” ”走行中にエンジンが止まった”との事。
不具合状況を再現するため走行テストを行います。
アクセルを踏み込んでも何かもっさりしてスピードが上がらず、べた踏みしても最高でも60km/hほどしか上がりません。
そのまま走行していると急にエンジンが止まってしまいました!
アクセルを踏んでる最中のエンストです!
惰性で路肩によけてエンジンを再始動しようと試みますがクランキングは勢いよく回るのですがなかなか掛かりません!
焦りましたが何とかエンジンは掛かり工場に帰還することが出来ました。
この車両は、電子制御ディーゼルエンジンですので故障コードを読み出しましたが特に何も検出していませんでした。
なんとなくガス欠の症状に似たエンストでしたので燃料系統を疑い調べていくことにします。
エンジンの掛かりの悪さは何時間か放置した後に再現できました。
クランキングは勢いよく回るのですがエンジンは爆発する気配がありません。
エンジンが掛からない状態でインジェクターに燃料が来ているか確認してみるとやはり燃料来ていませんでした。
何らかの原因で燃料供給がおかしくなっているのは間違いありません!
次にプライミングポンプを押してみるとスカスカしていつまでも重くなる気配がありません。
プライミングポンプとは手動のエア抜きポンプで燃料ラインに空気が入ってしまった際、手動で燃料を送り空気を追い出すためにあります。
空気が混入していなければポンプは重くなるのですがいつまでたっても重くなりません。
そこで燃料ホースに透明ホースを割り込ませて燃料の動きを直接見てポンプが作動しているか確認してみます。
このようにポンプを押しても全然送っていませんでした。
次にエンジンを何とか掛けるとご覧の通り燃料に空気の気泡が多く混入していました。
これはプライミングポンプの気密が悪くなり空気が吸い込まれてしまったことが原因で,気密が悪いのでポンプも圧送しなかったというわけです。
これだけの空気が燃料に混ざればうまく噴射できませんので掛かりの悪さ・加速不良・エンストが起きても不思議はありません。
プライミングポンプと燃料フィルターを交換することになりました。
交換後プライミングポンプを押してみるとご覧の通りしっかり燃料を送れています。
交換後、すべての不具合は解消しました。
年数が経つとこのような部分も劣化してしまうので注意が必要です。
ちなみに取り外した部品と新しい部品は少し違います。
旧品
元々は寒冷地仕様で燃料ウォーマー付きでしたが、そこまで極寒冷地域での使用ではありませんのでノーマルのヒーター無を取り付けたのです。
新品
寒冷地仕様でないという以外に機能に差はありません。
部品代も安く済みお客様にも満足していただけました。