マツダ ボンゴ(SLP2V)
エアコン(冷房)が効かず、エアコンスイッチを入れるとカチンカチンという音がするとの事。
まずは問診をします。
・エアコンガスは他店で調整してもらったが症状は変わらず。
・高速道路など一定速である程度速度が高いと冷たい風が出る。
上記の状態であるとのこと。
点検を始めます。
ガスは他店で調整しているとの事なのでひとまず信用してコンプレッサーの作動状態を確認します。
するとマグネットクラッチはオンして繋がりますがすぐに切れてしまいます。しばらくするとまた入りますが止まってしまいます。
動作の反復具合を見るとマグネットクラッチを切るカットオフ制御が掛かっているように見えます。
カットオフする理由としてよくあるのがコンデンサーの冷却不足です。(ガス圧の異常上昇)
車両下部にコンデンサーはありその冷却のために電動ファンが装着されているのですがやはり回っていません。
冷却が出来ないことでコンデンサーは触れないほど熱くなっています。
この状態はコンプレッサーで高温高圧になった冷媒ガスを冷却することが出来ずさらに高圧になるので、システムの破損を防ぐためコンプレッサーの作動を止めるカットオフ制御が働いているのです。
次にコンデンサーファンが回らない理由を診断していきます。
コンデンサーファンモータに作動電圧が掛かっているのか確認しましたが電気は来ていませんし、一応ファンモーターに直接電気を与えると正常に回りますのでコンデンサーファンモーターの故障ではありません。
ファンモーターに掛かる電気回路を点検していく必要がありますが、お客様が待たれている状態ですので配線図を引っ張り出している時間は無いので回路を想像して点検していきます。
まずは回路の始まり部分である電源部分のヒューズです。
特に切れている様子はありませんでした。
次にコントロールするためにリレーを使っているはずなので探します。
グローブボックスを外すと一つリレーがいました。
コンプレッサーのマグネットクラッチの作動に合わせてこのリレーからカチッと音がしていますのでエアコン関連のリレーのようです。
取り外すと接点が二つあるタイプで、一つはマグネットクラッチ用でもう一つは連動するファンモーターの可能性が高いです。
リレーに掛かる電源はすべて正常ですのでリレーを外して接点部のコネクターを短絡するとファンモーターが回りだしました。
どうもリレーの内部接点で電気が流れないことでファンモーターが回らなくなったようです。
コイルに通電させ接点抵抗を測定するとやはりファンモーター側の接点は抵抗が大きくなっていましたのでこのリレーが故障原因であるのは間違いありません。
新しいリレーに交換するとマグネットクラッチの作動とともにコンデンサーファンも回りだしました。
コンデンサーファンが回りコンデンサーの冷却が出来ることで高圧ガスの圧力を適正に保つことが出来るためコンプレッサーも回り続けエアコンが効くようになり修理完了です。
リレーを分解してみると接点が焦げたようになっていましたのでこれが通電不良のの原因でしょう
冷媒システムは冷媒ガスを圧縮することで高圧高温の液状化した冷媒ガスを冷却した上で気化させ気化熱を冷風として利用します。
そのため室外機に当たる部分の冷却(放熱)が非常に重要になります。
走行風を得られる高速走行時は走行風によって放熱できたことでエアコンが効いていたわけです。
修理後、おさらいとして配線図を見てみるとやはり想像通りの回路図でした。(リレーは別々のことが多いのですが今回は一つのリレーに2接点持たせるタイプでした)
壊れたリレーも電磁コイルでこのようにしっかり動くのですが接点自体が焼損していて通電不良を起こしました。
この時代のものはオーソドックスな回路ですので部品の場所さえわかれば、容易に原因を探ることが出来ます。
しかし現代車のオートエアコン車両などは複雑でこんな感じの修理は通用しません・・・